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Road Movie vol.2 [旅]

レアル・デ・カトルセはプエブロマヒコ、魔法の村。でもこの小さな村の一番の特殊性はペヨーテ。先住民族のウィチョル族が宗教的儀式で用いたサボテンが村の麓に自生していてるのだ。来てみて実感したけどここの客層っていわゆる観光客と全然違うもの。放浪を身にまとった若者とか60年代からずっと現役の先輩とか。

2日目は早朝から昨日の馬子さんガイドとぺ狩りに出た。
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ひっそりと静かな日曜の村を後に、馬の背に揺られて自生地を目指す。
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急な石畳の坂をひたすら下る。深い谷筋に沿って点在する廃坑跡。半ば崩れた石や煉瓦の建物は中世の古城みたいだ。
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登り始めた陽が山の端を赤く染めていた。
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2時間掛けて完全に山を降りると、まばらに灌木が茂る石ころだらけの荒れ野が広がっている。
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この先に狩場があるらしい。
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山肌を舐めるように流れる霧、低い陽の光。
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ぺは置いといてこのランドスケープそのものが何だか心に響くものがあるな。

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ブツはこんな。効き出すのに2時間、効果は4時間くらいとのこと。

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帰り道の途中からキマリだした。光がクリアに見えてくる気がするのは陽が高くなったせいかもしれない。
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蹄が石畳を叩く硬い音が頭の中に響く。一定のリズムでカツン、カツン…歩を早めると力強く…他にあまり音がない環境なのでストレートに。

特に内証的にはならない。むしろ意識は外に向いて目も耳も敏感だ。村につく頃にピークを迎えた。
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馬を降りると、疲労感はないのにとりあえず横になりたくてしょうがない。すぐ近くの宿に戻りベッドに倒れこむ。目を閉じると物の輪郭の残像が青白く光を放つラインに見えた。「あぁ、これがそうなのかなぁ」とぼんやり思う。気分は悪くない。

時間の感覚は間延びして例えば5分が30分位に感じられるというか。イエルバと似た感じ。この現象は単位時間当たりの脳の情報処理量がものすごく上がってるからなんじゃないか、と捉えてるけど。

少し休んでから外を歩いてみた。
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音は耳を通して「聞こえる」というより脳に直接「書き込まれる」感じ。見るものも同じように「焼き付けられる」。気持ちは端的に言えばラブ・アンド・ピース(笑)。
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体のコントロールや判断能力は変わらないけど、意識して何かをやってないと心が飛んでっちゃいそうな、「あ、今どっか行っちゃってたヤバいヤバい」みたいな。

感情は穏やかに凪いでいるけれど官能性は高まっている。音も景色も起こっている事柄も全てが、瞬間瞬間の密度が。
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この村に引き寄せられる人たちが何に導かれて来るのか、すごい浅いレベルで分かったような気がした。「あと20年若ければ…」って思った。

まぁそんなこんなで面白かったんだがやっぱり帰らなきゃならないし、昼の2時には村を出る。オレは運転ムリ、M頼み。再びトンネルを抜け元の世界へと還っていく。この「通り抜け」感はすごくよくできてるな。

長い長い帰り道、 ほとんどずっといい感じが続いてた。
色んな話をした。それぞれのこと、感じてること、音楽のこと、仕事のこと、下らないこと、まぁ色んなこと。話ができるってのはいいことだ。
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日本を遠く離れ地球の裏側にいること、そしてもうすぐここを去るということ、窓の外を流れる風景、カーラジオからのラテンミュージック、眩しい光、乾いた風の熱さ。全ての要素があんまりハマり過ぎで、冷静で客観的な部分はキープしてるのに「マジで映画の中に居るみたいだぜ!」って馬鹿げた想いも止まらない。


オレのメヒコ映画のラストシーンは底抜けハッピーで、泣きの要素は全然なかった。
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狭い車の中で気持ちはずっと外に開かれて世界と共鳴していた。同じしるしを刻んだ心の手と手は繋がっていたな。
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